音を元気にしたり、迫力を付けたりと、音の表情を大きく変化させ加工するのがエフェクトです。「SonicStage Mastering Studio」にはそうしたエフェクトの中でも、活用頻度の高い「音質補正」「低域強調」「定位調整」「音圧調整」のエフェクトを装備しています。
「SonicStage Mastering Studio/エフェクト設定」
トラックパネルからエフェクトを加えたい曲をクリックして選択し、エフェクトを[ON]にしてから[設定]ボタンをクリックすると、エフェクト設定パネルが表示されます。
エフェクト設定パネルには初期設定で4つのエフェクトがセットされています。
使用したいエフェクトの[詳細]ボタンをクリックすると、それぞれのエフェクトコントロール画面が表示されます。
エフェクト設定パネルの左側にあるリハーサル再生の[再生]ボタンをクリックして原音を聞きながら各エフェクトを調整します。
「Sony Oxford EQUALISER for VAIO(ソニー オクスフォード イコライザー)」は3バンド構成のパラメトリックイコライザーです。調整する周波数帯を任意に設定し、その帯域幅や特性カーブを自由に設定して、音質補正から積極的な音作りまで、幅広くイコライジング(音質の調整)できます。
「LO(低域)」、「MID(中域)」、「HI(高域)」の各セクションそれぞれに3本のフェーダがあり、それぞれを上下にスライドさせてイコライジングの範囲と量を操作します。左端の「LEVEL」では、全体の音量を調整します。
「周波数コントロール」フェーダは、イコライジングする中心周波数を調整します。
・「LO」セクションでは30〜600Hzが選択できます。
・「MID」セクションでは100〜6.0kHzが選択できます。
・「HI」セクションでは2.0〜20.0kHzが選択できます。
「ゲイン」フェーダは、イコライジングの量を調整します。0dBを中心に±24dBの増減ができます。
「Q値コントロール」フェーダは、「周波数コントロール」フェーダで選択した周波数に対する帯域を調整します。「Q値」を下げるほど調整帯域が狭まり、ピンポイントのイコライジングが可能になります。
[IN]ボタンは、イコライジングのオン・オフを切り替えます。調整中に原音と比較するときに利用します。
[LO Shelving]ボタンは、「Q値コントロール」の拡張機能で、オン(黄色)にすると選択されている周波数以下の帯域のゲインを減衰させずにそのまま維持します。
「HI Shelving」ボタンは、「LO Shelving」と同様に、選択されている周波数以上の帯域のゲインをそのまま維持します。
プルダウンメニュー内には音楽ジャンルにあわせたプリセットデータが用意されているので、手軽にイコライジング効果を設定することもできます。
アドバイス
・全体的な音質の変更では、「Q値」を低めにして各セクションの「ゲイン」を調整します。
・特定の音を増減する場合には「Q値」を高めに設定して「周波数コントロール」を調整します。
・ボーカルを聞きやすくする場合には「LO Shelving」と「HI Shelving」を使用して低域と広域をなだらかに減衰させます。
音楽に迫力が欲しいときには、低音域を強調してみましょう。
「Renaissance Bass for VAIO(ルネッサンス ベース)」はイコライザーによる調整とは異なり、倍音を生成・付加して低域の音感を擬似的にアップして、小口径のスピーカーでは聞こえづらい重低音を聞こえやすくします。
左側のメーター「Original Bass」は、オリジナルのベースレベルを表示します。
メーター上の黄色いボタンは、クリックするたびに[In] と[Out] に切り替わります。
・[In] の時は、オリジナルのベースが後に加えられるハーモニクス(倍音)成分と共に出力されます。
・[Out] の時は、オリジナルのベースが出力されず、ハーモニクス(倍音)成分のみの出力となります。
次に、「Freq.」スライダーを調節して強調したい周波数を決定します。
例えば、65Hzに設定した場合は、65Hz以下の周波数のハーモニクスが追加されて、特に65Hz以下の低音部分が強調されます。
「Intensity」スライダーで加えられるハーモニクスのレベルを決定します。
ハーモニクスレベルは、中央のメーター「Harmonics」で確認できます。
ハーモニクスレベルを上げていくとより効果が強調されます。「Freq.」スライダーとあわせて調節してみてください。
最後に、右側のOutputメーターでトータルの出力レベルをチェックします。
メーター上の赤いインジケータが点灯している時は、レベルオーバーですので、「Gain」スライダーで出力レベルを調節します。
音楽に広がりが感じられないときには、ステレオ感を強調してみましょう。
「S1 Stereo Imager for VAIO(S1 ステレオ イメジャー)」はステレオソースの分離バランスを調整して、左右への広がりや奥行きなどを演出します。
まず「Rotation」スライダーで定位を決めます。通常はセンターに設定します。
次に、「Asymmetry」スライダーで左右のバランスを調整します。通常はセンターに設定します。
音像を広げるには「Width」スライダーを使用します。Widthの設定値は「0」で完全なモノラルになり、設定値を大きくすると広がり感が強くなります。
音源によっては「Shuffler」の値を大きくすることにより、更に奥行きを感じさせる効果が加わります。
Shuffler機能を使用すると低音域が失われるので、「Freq」スライダーで補正する低域の周波数(通常は600〜700Hz程度)を設定します。
「BassTrim」で設定した帯域の低音を強調します。
最後に、右側のOutputメーターでトータルの出力レベルをチェックします。
Outputメーター上の赤いインジケータが点灯している時は、レベルオーバーですので、「Gain」スライダーで出力レベルを調節します。
注意
調整時に使用するスピーカが左右均等に配置されてしいないと、リスニングポイントで正確な定位が得られません。調整前にスピーカーの位置や向きを確認してください。
音楽に力強さが足りないと感じたら、リミッターを使用してみましょう。
「L1 Ultramaximizer for VAIO(L1 ウルトラマキシマイザー)」は、原音の変化を抑えながらオーディオの平均レベルを高めて、全体的な音量を大きくすることができます。
「Out Ceiling」スライダーは、通常「0dB」 のままにしておきます。
その状態で、「Threshold」スライダーを下にドラッグします。下に下げるほど音圧が高まります。原音のピークを抑えるだけなら浅めに設定します。
「Release」スライダーはリミッティングのタイミングを調整します。通常「1.0ms」に設定します。
効果のかかり具合は「Atten」で確認できます。黄色いメーターが下向きに動いている場合は、リミッティングが行われていることを示します。
「Quantize」はファイルの最終出力フォーマットに合わせて下さい。24/20/16/12/8 ビットが選べます。
「Dither」でノイズ処理の方法を選択できます。通常は「Type1」を選択します。
・ 「None」:処理を行いません。
・ 「Type2」:ダイナミックレンジが非常に広く、音量レベルが小さい部分でノイズが目立つ場合にノイズ軽減を優先します。
加工したデータがより自然に聞こえるように「Shaping」では、人間の耳にほとんど聞こえないノイズを足す処理を行います。通常は「Normal」を選択します。
・ 「Moderate」:弱いノイズ処理を行います。
・ 「Ultra」:強いノイズ処理を行います。
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