本革製キャリングケース「VGP-CKP1」、クラッチバッグ風牛革製キャリングケース「VGP-CKP2/N」、装着したまま使える本革製キャリングカバー「VGP-CVP1」、そしてナイロン製のカジュアルなキャリングポーチ「VGP-CPP1」です。デザインや使い勝手の追求はもちろん、見えない部分にまでこだわった意欲作について、設計担当者とデザイナーに語ってもらいました。
長:VAIOでは、これまでにもキャリングケースやキャリングポーチ、キャリングカバーなどを販売してきました。今回も、type P用のアクセサリーのためにプロジェクトチームを作り、ブレストを重ねるところからスタートしました。そこで、type Pの開発者から出てきたのが「従来のPC用ケースにはないファッション性を追求したい」「ライフスタイルの提案をしたい」という熱い思いでした。
飯田:その思いをアクセサリー関係者が引き継ぐことで生まれたのが、4種類のケース、ポーチ、カバーです。特にアクセサリーの部門は女性スタッフが多いこともあり、「type P用で、女性に特化したアクセサリーを作りたい」という強い声がありました。試作してみたところ社内で好評だったので、そのまま商品化されたのが、ゴールドのクラッチバッグ風牛革製キャリングケースでした。
長:type Pは男性にも女性にもさまざまなシーンで使っていただけるPCです。そこで、アクセサリーでも男女どちらにもライフスタイルの提案ができるものを作りたい、と考えました。そうなると1〜2種類のアクセサリーでは足りず、それが今回の豊富なラインナップにつながりました。きっと4種類の中から自分にあったアクセサリーが見つかると思います。


「革絞り加工」を採用したことで、type Pをサッと入れやすくなっている。また、高級感とホールド感を出すために、革の表面にはシボを入れた。
長:キャリングケースの「VGP-CKP1」は、type P本体のデザイナーとブレストをする中で、「革のシステム手帳のようなカタチのケースが欲しい」という意見から生まれたキャリングケースです。シンプルな中にも高級感の漂うデザインを追求し、ケースの形状やベルトの幅にもこだわりました。「革絞り加工」という、VAIOアクセサリーの中では新しい製法を導入した入魂の逸品です。
飯田:革の表面には細かいシボを入れています。これは、高級感の追求と、持ったときのホールド感を出すための工夫です。また、type Pはユーザーがアクティブに持ち歩くPCなので、シボをつけることで革の表面に傷がつかないように、という配慮もあります。
長:今回はじめて導入した「革絞り加工」とは、硬化剤を塗った革に本体の型を差し込んで乾燥させることで、type P本体の立体的な形状に合わせた絞りを実現する、というものです。これによって本体がサッと入れやすくなっています。
上は試作品、下は製品の革ベルト部分のアップ。横から見ると製品の革ベルトが薄く、しなやかに仕上がっているのがわかる。
飯田:マグネット式のベルトにもこだわりを込めました。当初は面ファスナーやボタン式にするアイデアもありましたが、高級感やアクセスがより簡単になるという点でマグネット式を採用しました。ベルトが太すぎるとデザインが損なわれるので最適な幅にするために試行錯誤をしたり、ステッチの色も何種類も検証して、大人の印象にするために革と同じ色に統一したりと、ベルトにはとても手間がかかっています。
長:ベルトの部分は、革の中にマグネットが入っているのですが、この部分の加工が一番苦労しました。VAIOロゴのプレートを先に取りつけてから、マグネットを埋め込み、最後にステッチを縁からギリギリで縫うのが非常に難しかったです。VAIOロゴのプレートを小さくしたのは、type Pを出し入れするときに本体に傷がつくことがないように、との配慮からです。その分、VAIOロゴのプレートを小さいながらもクローム仕上げにすることで、ワンポイントでありながらさりげない高級感が出ています。
インナーカバーを採用したことで、type P本体の側面を保護できる。細かい配慮がユーザーの安心につながる。
飯田:本体を傷つけないという点では、インナーカバーの採用も特徴的です。これによって、ケースに入れた本体の側面が露出しなくなります。バッグの中に他の物と一緒に入れた場合でも、本体に直接物が当たらないので安心です。ケースに革のカバーをつけると、フタをする形になってしまいアクセスの容易さが失われてしまいますが、インナーカバーはアクセスを容易にしながらも本体を保護しています。
長:他には、標準バッテリーだけでなくLサイズのバッテリーを装着した場合でも、そのまま入るようにケースのサイズやベルトの長さも計算しつつ、デザインが崩れないように配慮しながら仕上げています。表面には出ませんが、こうした部分の細かい配慮もVAIOブランドのケースならでは、と自負しています。
一番左がtype T用のケース。一番右がtype P用の製品。真ん中の3つは試作品。ケースとしての完成度がとことん追求された。
長:キャリングケースの「VGP-CKP2/N」は、女性向けに企画したクラッチバッグ風のキャリングケースです。実は以前、type T用にゴールドのケースを出したところ女性に好評でした。女性スタッフから「あのケースを小さくしてtype P用にしてみたら、さらにかわいいものができて女性に喜ばれるのでは?」という声があがってきたので、それを試作してみました。社内でも非常に好評だったため「ぜひ商品化しよう」ということで、ラインナップに加わりました。
飯田:女性なら誰でも、type Pの形を見たときにクラッチバッグを連想すると思います。そこで、バッグとして売っていてもおかしくないような本格的なクラッチバッグ風のケースにしたいと思いました。PCを入れていなくてもバッグとしても使える、まさかPCが入っているとは思わないようなケースですね。そこからVAIOが出てくるという驚きの演出を狙いました。丸みのあるフタのデザインと、ゴールドのカラーリングは、type T用のケースのものをそのまま採用しています。type Pの本体色にはレッドやグリーンもありますが、このゴールドの革ならどれにでもしっくりと合います。
長:柔らかい手触りや質感を実現するために牛革を採用しています。また、このケースにもシボを採用していますが、type T用のケースに比べると抑え気味にしています。こうすることで、牛革素材の持つ軽くて柔らかい感じをより表現できるシボになりました。
牛革の採用で柔らかい手触りと質感を実現。さらに、華やかなゴールドはさまざまなシーンで映える高級感を演出。
飯田:女性向けということで、ダブルステッチを採用してデザイン上のアクセントにしています。また、あまりペチャンコだと寂しい感じになるので、適度なふっくら感を出すことも考えて仕上げました。このあたりは、システム手帳のような高級感を追求した「VGP-CKP1」とは異なり、あくまでも女性へのアプローチで作っています。
長:女性向けという点では、VAIOロゴの扱いについてもさりげない工夫をしています。あえてロゴを表面には出さず、フタをあけると型押ししたロゴが現れるようにしました。フタを閉じるとPCバッグとはわからないと思います。こうしたディテールにこだわったことで、従来のPCケースにはない、オシャレな感覚で持ち歩けるデザインが実現できたと思います。
センターカーブのフタをあけると、さりげなく刻印されたVAIOロゴが出てくる。こんなところにも女性への配慮が見られる。
飯田:このケースもフタはマグネット式を採用していますが、マグネットは中央ではなくて両端に2つ配置しています。これは、センターカーブのデザインを活かした結果です。左右にマグネットをつけることで、真ん中が少し浮く感じになるので、フタをあけるときの手がかりになります。女性スタッフが考えた女性のためのかわいいケースを、ぜひ愛用していただけるとうれしいです。
一番右が製品。他は試作品の数々。1枚の革で作るカバーを作り上げるのに、これだけの試行錯誤があった。
長:キャリングカバーの「VGP-CVP1」は、1枚の革でtype P本体をはさむ形のカバーです。ケースのように出し入れが不要な、まさにアクティブなモバイラーのための製品だと言えます。これも、最初は色々な形を考えて試作を繰り返しました。
飯田:PC本体に着せるようなブックカバー式のものから、カバーの上からヒモを巻いてくるむ形のものまで検討しましたが、最終的にはシンプルにはさむ形のものに落ちつきました。また、初期の段階では「ステーショナリーっぽくしたい」というアイデアもあったので、革で段差を作る切り返しのデザインのものなどを考えました。
長:最終的にはシンプルなデザインに落ち着いたわけですが、さまざまなアプローチで試行錯誤したベストな形がこれだったということですね。カバーはサッと開いてすぐに使えることが重要なので、「PC本体をより快適に使えるようにする」というアクセサリー開発の基本コンセプトのもと、特に快適さを大事にしました。
時間をかけて芯材の位置を調整した結果、type P本体のフタをあけても革の遊びが最小限になり、シルエットが崩れない。
飯田:カバーというと簡単そうに見えるかもしれませんが、実はとても手間暇をかけて作っています。たとえば今回はカバーの両面に入れている、芯材という薄い板の位置を調整することに時間をかけました。芯材はカバーがだぶつきを抑えながらも、カバーの形状をきれいに保つ役割を果たしています。実用性とデザイン性のバランスを考えて、革の遊びの部分をどれくらいにするかを、芯材の位置で調整するわけです。
長:今回は、これまでのカバーの中で一番の薄さと軽さを実現しました。そのために革を薄くしているのですが、それだけではありません。本体と同等の試験などをクリアして、品質面で問題がないかを厳しくチェックしています。見えない部分での工夫は、カバーといえども他のアクセサリーと変わらないものがあります。
飯田:その意味でVAIOブランドのアクセサリーには、デザインと品質をしっかりと両立させることが要求されています。たとえば、カバーをtype Pの本体につけるためにフタ側では粘着ゲルシートを採用しています。これはカバーを外して使う場合に、粘着テープなどの余計なものが残らないようにして、ユーザーのみなさんに気持ちよく使っていただきたい、という思いからです。
万が一カバーだけをつかんで持ち上げても、底面に採用した面ファスナーのおかげで、type P本体の落下が防げる。
長:それとは逆に、底面に面ファスナーを採用しています。これはカバンから出すときなどに、カバーだけを持って出された場合でも本体が落ちないように、との配慮からです。モバイルPCなので落として壊れてしまうのは絶対に避けたいですから、安全性へのこだわりですね。また、カバーの底面には段差になるゲタを埋め込んでいます。これによってカバーをつけて使っても本体がグラつかないよう安定させています。シンプルな中で、デザインと使い勝手の両方でも、モバイラーのみなさんにどれだけ満足をしていただけるかを追求した一品に仕上がったと思います。
type P本体に合わせてカラフルな4色が用意されたキャリングポーチ。試作段階ではさまざまな素材が検討された。
長:キャリングポーチの「VGP-CPP1」は、ナイロン素材を採用した軽くて丈夫なポーチです。type P本体に合わせてホワイト、ブラック、レッド、グリーンの4色を用意しました。また、ACアダプターケースとして使えるミニポーチも付属しています。ビジネスでもホームユースでも、さまざまなユーザーのニーズに応えることができるカラフルな製品です。
飯田:製品のコンセプトとしては「カジュアルで気軽に持ってもらえるもの」「それでいてPCをキチンと保護するもの」という2つがありました。そこで最初は、縦型のデザインや、ペンケースのように革のヒモを巻くものなど、いろいろ試作をする中で検討をしました。素材もキャンバスっぽいものや、衝撃吸収材のようなものまで試した中で、ツヤ感があって大人っぽい感じにでき、気軽に使えて軽くて丈夫ということで、ナイロン素材を採用しました。
長:ナイロン素材にくわえて、サイドの部分にはポリウレタン素材を使っています。これは、PCを保護するのと、デザイン上のアクセントにもなるという一石二鳥の効果を狙ったものです。
本体用のポーチは縦に開いて本体を出し入れする。このような形でサッと開いて片手で簡単にアクセスできる。
飯田:このポーチで一番苦心したのが、ナイロン素材とポリウレタン素材の仕上げをtype P本体のカラーリングにあわせることでした。本体は単一の色ではなく、さまざまな色が混ざってできあがっているので、光の角度によって色の見え方が違う効果まで演出しています。そのような複雑な塗装とポーチの生地やポリウレタンでは色の出方が違うので、素材の特性にあわせた色を出すのが難しかったです。特にレッドとグリーンは大変でした。
長:一番大きな特長は、便利なミニポーチが付属しているところです。これは少しサイズが大きめなのですが、ACアダプターにオプションの「ディスプレイ/LANアダプター」をつけたまま入れられるようにするためです。プレゼンをする方なら、他に必要な小物を入れていただくこともできます。
飯田:本体用の大きなポーチは縦で入れる形でデザインしました。これは片手でつかんで入れるときに、横より縦の方がやりやすいと考えたからです。また、ダブルファスナーにしたのも、縦入れ式での使い勝手をよりよくするためです。
ファスナーの歯が当たってtype P本体に傷をつけないようにとの配慮から、インナー素材の端の部分の形状も工夫されている。
長:ファスナーといえば、このポーチではファスナーを裏返しにして使っています。こうすることで、表から歯が見えないデザインになるのです。サイド部分のポリウレタンがフワッとした感じの素材なので、ファスナーの歯を隠すことで継ぎ目を意識させないような、同じシルエットでつなげるデザインにできたと思います。この辺にもこだわりました。
飯田:内側に向いているファスナーの歯が、本体にこすれて傷が付いてしまうのを防ぐ為にインナー部分にヘリ巻きがあるのですが、普通に作るとヘリ巻きが倒れてしまいます。見た目にも悪く傷防止の役割を果たす事ができないので、ヘリ巻きが倒れないように加工の仕方を工夫しました。一見で気がつかないところにも、こだわりが隠されています。
長:アクセサリー製作はコスト優先で作ってしまうと、たとえば「ミニポーチをやめよう」という話になってしまいますが、それではいいものが作れなくなってしまいます。VAIOブランドの製品としての魅力を備えたポーチにするため、最初は自由に企画やデザインを考えて、そこから現実の製品に落とし込みをしていきました。4種類のアクセサリー全部がそうですが、特にこのポーチにはこだわりがたくさん入っています。ぜひ、type Pを入れて毎日使って欲しいですね。



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