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Pシリーズ

03 設計&デザイン
いかに小さくともWindows PCとして本質を内包しているのが新Pシリーズ。
それが設計やデザインにも反映されていた。
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実際に触ってみれば一発で伝わる新Pシリーズの操作性

―― 新Pシリーズでは特にセンサーを用いた機能が充実していることがわかりました。それにしてもどうしてこれほどセンサーを活用しようと考えたのですか。


伊藤:

発端は初代Pシリーズの液晶ディスプレイの横にタッチパッドを取り付けた試作機を作ったことでした。試作なのでケーブルだらけなのですが、これを実際にスタッフに使わせてみると「意外にいいね」「結構使えるね」と好評でした。口で「タッチパッドを液晶の横につけると便利だよ」といくら説明しても、「何が便利になるって?」「そんなに機能いらないよ」と言われるのですが、実際に使ってもらうと「これはありだね」と一発で理解してもらえたことは私の印象に強く残りました。この体験を通して、この使い勝手の良さは実際に試用してみないと伝わらないのだとわかりましたね。


鈴木:

試作1号機ではタッチパッドだけでしたが、すぐに加速度センサー、照度センサー、デジタルコンパスを組み込んだ2号機を5台作って、世界各地のVAIO担当者に送りました。VAIOはワールドワイドで販売しているので、ヨーロッパやアメリカの意見も聞きたいと思ったのです。この作戦は見事に当たり、ワールドワイドでも「これは使える」という反応が返ってきました。もし企画書だけ送って済ませていたら、やはり「そんなの使わない」と門前払いを食っていたかもしれません。


―― しかし、新しい操作体系を創り上げるのは大変な作業ですよね。アイディアがいくら面白くても実用性が求められますから。


藤井:

私は以前からセンサーを使って何か面白いことができないか考えていて、新Pシリーズとは関係なくセンサーを使ってWebブラウザーを操作したり、写真をめくったりするアプリケーションを作っていました。


鈴木:

はじめてアプリケーションを見たとき、「これ、買う」と声を掛けたのです。


藤井:

VAIOには以前からHDDプロテクションのために加速度センサーを搭載していました。落下のときにHDDを保護するためのセンサーです。新PシリーズはHDDモデルがないので加速度センサーは本来不要だったのですが、ローテーションやジェスチャー操作のために搭載することになりました。


―― HDDであれば動作中のPCを動かすなんてとんでもないことですが、SSDであれば逆に傾ける操作が可能になるわけですね。


藤井:

しかしそういうユーティリティーを開発するのは、実は大変なんです。いろいろな使い方を提案してみるのですが、アイディアを出して試作アプリを作っては没にされることの繰り返しでした。そしていろいろな人の意見を聞いて回って、アイディアのおもしろさ、利便性、使いやすさを兼ね備えた操作だけが採用になりました。アイディアがいくらユニークであっても使いにくければストレスが溜まりますから。新しい操作性を作るときは、なにより使う人を惑わせず、直感的に気持ちよく使えることが大切です。


―― 他に設計について苦労した点はありますか。


鈴木:

バッテリー駆動時間ですね。全体として初代と比較すると約50%使用時間が伸びています。バッテリーパックそのものは初代よりも奥行きが約5mm大きくなって、その分体積としては約12%容量アップしているのですが、残りは回路を工夫して伸ばしているのです。本体サイズや重さを変えずに50%アップという成果は、技術者としては胸を張れることだと思っています。


ジェスチャー操作のためのアプリケーションを開発した藤井。
ジェスチャー操作のためのアプリケーションを開発した藤井。
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新しい操作性のよさをスタッフに実感させた試作1号機(中央)。
新しい操作性のよさをスタッフに実感させた試作1号機(中央)。
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世界各地の担当者に配った試作2号機。すべてのセンサーを搭載した。
世界各地の担当者に配った試作2号機。すべてのセンサーを搭載した。
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底面に配置したバッテリーは5mm奥行きが伸びた。
底面に配置したバッテリーは5mm奥行きが伸びた。
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外でも使いたくなるビビッドなデザイン

―― デザインも初代とは大きく違いますね。初代は上品な美しさが感じられるデザインでした。新Pシリーズはよりアクティブな印象で、使う楽しさを感じさせるビビッドなカラーです。


伊藤:

このデザインには「もっと外に持ち出して使ってほしい」という気持ちが込められています。所有している人も「外で使いたくなる」、それを見た人も「使ってみたい」と思う、そんなデザインを心がけました。そのために元気な色使いにしたのです。形も有機物のような手になじむ柔らかいデザインになっています。


鈴木:

ちょっと言い方は悪いのですが、「ラフに扱っても大丈夫」という雰囲気が感じられると思います。「初代はスーツ、今回はカジュアル」という印象の違いが感じられるのではないでしょうか。PCとしての基本構成やサイズは同じでも、まったく違うPCとして生まれ変わったと言えます。


―― 今回「モバイルグリップ・スタイル」という持ち方をすることで、PCと触れる場所が通常のPCとは異なります。持つ感触についてはどのような配慮があるのですか。


鈴木:

当初は手触り、肌触りを優先してゴム風の素材で作ってみたのですが、指紋が残ったりひっかき傷に弱かったりする問題があり、ゴム風のマット感のある塗装に変えました。傷に弱いと「ラフに扱っても大丈夫」というコンセプトから外れてしまいますので。


―― ケース、ストラップも含めてビビッドなカラーで統一されていますね。


鈴木:

ケースとストラップは同じ色のセット販売です。通常はPC本体と同じ色のケースを購入されると思いますが、デザイナーのおすすめはPC本体と違う色で組み合わせることです。ケースの穴を通してPC本体の色が見えるので、遊び心を楽しんでください。


伊藤:

ケースにファスナーが付いていないのは、すぐに取り出してアクティブに活用できるようにという考えです。ストラップがついているのは立って使ったときの落下防止のためです。初代Pシリーズは机において座って使う想定でしたから、机の高さからの落下を想定した強度を確保していました。新Pシリーズは立ったまま、歩きながら使うことも想定しているので、高いところからの落下に対する堅牢性も強化しています。とはいえ落とさないに越したことはないのでストラップを手首に通して使ってください。


―― 話を聞いていると新Pシリーズがこれほど小さくても「やっぱりPCなんだ、VAIOなんだ」と実感してきました。携帯電話など他のモバイル端末とは違うVAIOの血統が感じられますね。


伊藤:

最初にお話ししたように、単にネットが見られればいいというのであれば、携帯電話やスマートフォンで十分です。しかし、人によってネットを利用する目的が違います。また自宅や職場でWindows PCを使っていて、その環境をモバイルでも使いたいという要望もあります。
だから私たちは、こういう小型のWindows PCを作る意味があると思っているのです。Windowsであれば、普段なれている環境がそのまま使える。スキルのある人ならメールソフトや日本語入力ソフトを自分が好きなようにカスタマイズできる。Windowsには人それぞれ自分にあった環境を構築できる利点がありますし、それがPCを使うことの本質につながっています。今回、新Pシリーズが目指した2つの「シンカ」も、それを見据えて開発したものです。


カラフルな色のラインアップが増えた。
カラフルな色のラインアップが増えた。
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有機物のような柔らかい印象を感じさせるビビッドなカラー。
有機物のような柔らかい印象を感じさせるビビッドなカラー。
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色違いのケースとの組み合わせが、デザイナーのおすすめ。
色違いのケースとの組み合わせが、デザイナーのおすすめ。
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マット感のある塗装によって、つかんだときに手になじむ。
マット感のある塗装によって、つかんだときに手になじむ。
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