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開発者インタビュー / InsideVAIO type R master 開発者に聞く
02 Design
熊野大岳写真 縦でも横でも設置でき、しかも別置きも重ね置きも可能レイアウトフリーというコンセプトを実現したデザイン 熊野大岳(デザイン)
レイアウトフリーを前提としたデザインで、それぞれがハイエンドモデルとしてきちんと存在できるようなものを目指しました。
AV機器と同じ横幅430mmに統一、シンプルで質感を重視
高い拡張性を持ちながらコンパクトな筐体であること。その上で、使いやすさも犠牲にはしない。この矛盾するような課題を、すべてクリアしてできあがったのが、type R masterのツインユニット・コンセプトだ。これによって、設置する場所の状況、オーナーの好み、その他の周辺機器との兼ねあいなどの条件に応じて、PCを自由に配置できるレイアウトフリーを実現した。しかし、このような配置の自由度が高いほど、デザインは困難になる。どのような配置にしても高級感のある見栄えを保つにはどうしたらよいか? この課題を見事にクリアして見せたのがデザイン担当の熊野大岳だ。ツインユニットというかつてないPCのデザインについて、熊野はこう語る。

熊野:ツインユニットにするメリットは、レイアウトフリーの実現にあります。つまり、設置に関する自由度が増える分だけ、レイアウトのパターンが増えるわけです。机の上には必要なものだけを置けば――たとえば、アクセスユニットだけを置いて、その上にモニターを乗せれば――タワー型よりも占有面積が減ります。このようにして、オーナーの使いたいように設置できます。その自由度の高さから「意外といろいろなことができる。面白いじゃないか。このコンセプトでやってみよう」ということに決まったんです。しかし、デザインとしては従来のPCにはない新しいものなので、難しさもありました。

従来のタワー型の場合、設置の仕方は1通りです。机の上か下かという置き場所の違いはあっても、基本的には縦置きを前提にしたデザインを考えます。それに対してtype R masterでは、2つのユニットをどのように配置しても大丈夫というコンセプトです。だから、2つのユニットの機能は別であっても、統一感のあるデザインにする必要がありました。その上、置き方は横でも縦でもいい。机の上と下に分けて置いてもいい。ユニットの上にモニターを置いてもいい。あるいは、他のAV機器と積み重ねて置いてもいい……。このように自由度が極めて高いので、どういう置き方をしても違和感なく、高級感を醸し出すデザインに設計しなくてはいけなかったのです。だから、デザインにあたっては、派手さよりも質感を大切にしました。

メインユニットの前面にはパネルをつけていますが、もし横置きだけでいいのであれば、それを上か下に移動して、細く見せかける方法も考えられました。あるいは、前面のUSBポートを抜き差ししやすいように大きく広げる手もあります。しかし、そうやって横向けにデザインしたものを縦に置くと、非対称な形になって、どうしても安っぽくなってしまうのです。だから、高級感を醸し出すために、縦に置いても横に置いてもシンメトリック、つまり線対称な形になるようにデザインをしました。

また、横幅については、DVDレコーダーなどのAV機器と同じ430mmに統一しました。ですから、他のAV機器といっしょにラックに納めたり、積み重ねても違和感なく見えると思います。それと、奥行きはなるべく短くしました。拡張性を追求すると奥行きも増えるのですが、アクセスユニットは机の上に置いて利用することも想定しているので、十分に作業スペースが取れるように290.5mmに納めました。これは、付属の24インチモニターの台がぴったり乗るサイズです。メインユニットも従来モデルより拡張性が高いにもかかわらず、10mmほど小さくなっています。

それと、前面にあるVAIOロゴは、従来のモデルでは光る仕掛けがあったのですが、今回は光りません(笑)。2つのユニットを並べたときに、2つのロゴが光ると不思議な感じがしますから。
縦置きに設置した場合も、左右線対称な形を実現している。縦でも横でも美しいデザインが特徴だ。なお、縦置き用に専用のスタンドや設置用足が付属している。
 
メインユニットの前面にあるUSBなどポート類。
前面パネルのデザインで高級感を出しながら吸気口を隠す
熊野:縦でも横でも置けるということは、熱処理のための排気口・吸気口を側面に開けられないということを意味しています。必然的に前面と背面しか使えないわけで……。従来のtype Rシリーズでは側面から吸気して、背面から排気していたのですが。

そこで考えたのが、前面パネルを設けるというアイデアです。これは見栄えをよくするためだけのものではなく、実は吸気口を目立たせない役割も担っているわけです。といっても、パネルがなくても吸気口の穴は見えないようになっていますが。そういう部分が見えると、いかにも手抜きしているように見えますよね。でもtype R masterは前面からハードディスクの取り外しが可能なので、パネルを外したまま使うお客様もいるかもしれませんから、パネル無しの状態でも見栄えが良いようにデザインしています。

ところで、このパネルは少しラウンドしたデザインになっています。平らにすると板みたいに見えてしまうのですが、それでは高級感が出ません。少しハリを持たせることで、やわらかい印象になるのです。このようなデザイン上の工夫以外にも、このパネルにはいろいろな工夫が凝らしてあるのですが、その話はメカ担当の篠原に譲りたいと思います。
パネルを外した前面。左側の格子状になっているところが吸気口になっている。格子によって、吸気口が見えにくいよう配慮している。
 
わずかにラウンドしている前面パネル。光の変化によりアルミニウムの質感を高める。
 
03 Tech&Cooling
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