SonicStage Mastering Studioという名前を見て、従来からあるSonicStageの新バージョンだろうと想像する方も多いかもしれない。しかし、このソフトは同じブランドネームを使っただけで、まったく別物のソフトとなっている。
このソフトを一言でいってしまえば、レコードやカセットテープなどのアナログ素材を録音してCDに焼くというもの。確かに、使ってみると初心者でも手軽にそうしたことができるのだが、実はとんでもない機能がその裏にいろいろと隠されている。Mastering Studioという名前がそれを物語っており、プロのレコーディングスタジオ、マスタリングスタジオで使われている機能、技術がそのままの形で搭載されており、プロの現場でもそのまま活用できるほどのものになっているのだ。
そして最近、プロを含むハイエンドユーザーの中で、バイオにすごいものが搭載されたらしい、という情報が飛び交っているくらいだ。でも、なぜバイオにそんなソフトがプリインストールされることになったのだろうか?
「われわれ開発チームのメンバーのほとんどは、それまでSonicStageというソフトの開発に携わっていました。
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バイオからネットワークウォークマンにデータを転送して音楽を楽しむというものですね。でもバイオでの音楽の楽しみはそれだけではないだろう。音を遊ぶ、音をいじる…。ソニーなりのやり方があるんじゃないかな、と考えていたんです」と語るのは畠中。
こう考えていたのは畠中だけではなかった。仕事中にそんな話になることはあまりないが、プライベートな雑談の際には「MTR(マルチ・トラック・レコーダー)をバイオでできないかな」、「DTMソフトを作ってみたいけど、先行企業もあるし、ソニーらしさを出すのは難しいのかな」といったやりとりが、当時は森田を囲んでしばしばされていたという。
というのも、普段はソフトウェアの開発をしている技術者たちだが、プライベートにおいては作曲したり、バンド活動をしていたり、シンセサイザをいじっていたりというメンバーばかりなのだ。ある意味それがソニーの社風ともいえるものなのだが。
そんな雑談話が少し現実味を帯びてきた。2002年の4月ごろ「バイオでハイエンドのオーディオを目指すべきじゃないの?」という声があがったのだ。 |
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