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InsideVAIO SonicStage Mastering Studio : 開発者に聞く
01 concept
エフェクトに関しては絶対に妥協したくなかった信号処理系・プラグイン担当/畠中 光行
盛り込む要素技術のアイディアはいろいろありました。でもエフェクトに関しては絶対に妥協したくなかったんです。社内の技術を利用するとともに、社外からもトップレベルの技術を取り入れて搭載した結果、良いものになりました。
バイオでハイエンドのオーディオを目指す
 SonicStage Mastering Studioという名前を見て、従来からあるSonicStageの新バージョンだろうと想像する方も多いかもしれない。しかし、このソフトは同じブランドネームを使っただけで、まったく別物のソフトとなっている。
 このソフトを一言でいってしまえば、レコードやカセットテープなどのアナログ素材を録音してCDに焼くというもの。確かに、使ってみると初心者でも手軽にそうしたことができるのだが、実はとんでもない機能がその裏にいろいろと隠されている。Mastering Studioという名前がそれを物語っており、プロのレコーディングスタジオ、マスタリングスタジオで使われている機能、技術がそのままの形で搭載されており、プロの現場でもそのまま活用できるほどのものになっているのだ。
 そして最近、プロを含むハイエンドユーザーの中で、バイオにすごいものが搭載されたらしい、という情報が飛び交っているくらいだ。でも、なぜバイオにそんなソフトがプリインストールされることになったのだろうか?
「われわれ開発チームのメンバーのほとんどは、それまでSonicStageというソフトの開発に携わっていました。


バイオからネットワークウォークマンにデータを転送して音楽を楽しむというものですね。でもバイオでの音楽の楽しみはそれだけではないだろう。音を遊ぶ、音をいじる…。ソニーなりのやり方があるんじゃないかな、と考えていたんです」と語るのは畠中。
 こう考えていたのは畠中だけではなかった。仕事中にそんな話になることはあまりないが、プライベートな雑談の際には「MTR(マルチ・トラック・レコーダー)をバイオでできないかな」、「DTMソフトを作ってみたいけど、先行企業もあるし、ソニーらしさを出すのは難しいのかな」といったやりとりが、当時は森田を囲んでしばしばされていたという。
 というのも、普段はソフトウェアの開発をしている技術者たちだが、プライベートにおいては作曲したり、バンド活動をしていたり、シンセサイザをいじっていたりというメンバーばかりなのだ。ある意味それがソニーの社風ともいえるものなのだが。
 そんな雑談話が少し現実味を帯びてきた。2002年の4月ごろ「バイオでハイエンドのオーディオを目指すべきじゃないの?」という声があがったのだ。
スピリッツはパッシブからアクティブへ
 ただ、その時点ではあまり具体的なイメージがなかったので、いったいどういう方向にもっていったらいいんだろうかと、みんなで考えつつ、そのための技術的な裏づけ、調査をしながら、4ヶ月ほどが経過した。そして、「これならいけそうだね」、という形が見えてきたのだという。
 その時点において、みんなの共通認識としてあったのは「聴くだけじゃなくて、作ろうぜ」というスピリッツであり、「パッシブからアクティブへ」というのが共通したイメージだった。
 そして8月に正式に商品化のためのプロジェクトとしてのチームが発足したのだ。
 とはいえ、その時点では仕様も、すでに確立された分野へどうやってソニーらしさをアピールするかも固まっていなかった。そこで、イメージを具体化させるために、夏期講習会という名前で約1週間の集中合宿を行い、リアリティーを深めると共にメンバー間でのイメージ共有を計った。こうした知識を元に同時録音・再生ができるカラオケソフトを作ってみるなどの実験も重ねていったのだ。
「夏期講習会などを通して、みんなのイメージが少しずつまとまってきました。が、まだその当時は、現在のSonicStage Mastering Studioの姿は想像できませんでした。なんというか、もっと物々しいものを想像していたんですよ」
と語るのは野村。
 実は当初このプロジェクトチームにおいては、ハイエンドユーザーに限定したソフトの開発を考えており、誰もが使うというイメージではなかった。そのため、大きなミキサーコンソールが表示された画面をイメージしていたり、音声波形を表示させることなども考えていた。


 これに関してプロジェクトリーダーである下吉は「波形の表示については、いろいろ議論していたんですよ。表示するだけで、変に難しいイメージをユーザーに与えてしまい、敬遠する人がでるんじゃないかって。その一方で、波形編集ソフトは世の中に優れたものが数多くあり、われわれがすぐに勝負できるものではない、という考え方もあったんです。結局、波形は表示させないということに決まり、そこが一つのコンセプトともなったのです。そんな議論をしているところに、ハイエンドユーザー専用ソフトではなく、もっと広いユーザーをターゲットにするということが決まり、少しずつ方向修正もしていきました」と語る。
あえて「波形」ではない編集スタイル
▲あえて「波形」ではない
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 このように、現在の形にまとまるまでは、かなり紆余曲折があったようだが、ベースとなることが色々と決まっていった。まずは3ステップですべての作業ができ、まったくの初心者でも簡単に使えるということ、つぎに3ステップの中にオプション機能を搭載し、それを使うとプロユーザーでも納得のいく機能・性能を盛り込むこと、そしてここに盛り込む要素技術は社内外を問わず最高のものを使うこと、というものだったのだ。
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