音楽を聴くだけではなくて、積極的に自ら作るということを実現できるソフトを目指して作りました。年齢を問わず音にこだわりを持った人は多いと思います。彼らが気軽に使え、かつ納得のいくソフトになったのではないでしょうか。 |
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実際に使ってみたらわかるが、基本的にはたった3ステップで一通りの作業ができるように設計されている。具体的には「入力の選択」、「録音の実行」、「CDなどへの出力」という3つ。これにより、アナログのレコードやカセットテープをきれいな形でCD化することができるのだ。しかも、この際、本当の初心者でも手軽に使えるような設計になっており、機材の接続さえできていれば、ほぼ自動的にできてしまう。 こうした手軽さは従来からのオリジナルソフトの考え方を継承するものだが、実はその裏にはいろいろなものが隠されている。ここがSonicStage Mastering Studioの醍醐味ともいえるものだ。たとえば「編集」というボタンを押すと編集メニューが現れ、ここにさまざまな機能が詰まっているといった具合だ。この段階に入ると、ある意味、わかる人にだけわかるという画面が出てきて、まさにプロ向けのアプリケーションという顔つきになるのが不思議なところでもある。 ユーザーインターフェースを担当した野村は「いろいろと考えている中、コンピューターの知識があることと、音にこだわりがあることは必ずしも一致しない、という結論に至ったんです」と話す。 つまり、コンピューターに詳しい人が音にこだわりを強く持っているとか、その逆だとかということはなく、これは別次元のものだということ。 |
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一方、デザイン担当の坂田は、別のアプローチからスタートしていた。 「はじめて話を聞いたときは、非常に壮大なイメージでした。まさに、あれもできる、これもできるってね。これらを全部入れると、すごいものになってしまう。でもそれをお客様に少しでもわかりやすく使ってもらうにはどうデザインすればいいのか、って悩みましたね。私個人では初心者向けの作曲ソフトから業務用レコーディングソフトまでさわったことがあったので、それぞれのデザインはよく知っていましたが、それらとはまったく違うアプローチはできないか、と考えていました。たとえば高級感とかね。その一方で、同時期に開発されていたバイオのほかのアプリケーションはワンクリックで動くというのをコンセプトにしていたのです。そこでこれらと横軸をあわせるのには、苦労しましたね。そうした中で、簡単な操作だけど、すごいことができる。表面をさらえば3ステップでできるけど、降りていけばすごいことができる。というコンセプトが固まっていったんです」 ユーザーインターフェースとデザイン。まさに表裏一体のものを設計するこの二人が、お互いイメージを交換しながら、少しずつその枠組みが決まっていった。 こうした中で、やはり問題になっていたのが音声波形を画面に表示させるかどうかだった。 |
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