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InsideVAIO SonicStage Mastering Studio : 開発者に聞く
03 interface&design
聴くだけではなく、積極的に自ら作ることを実現アーキテクト・設計開発担当/森田利広
音楽を聴くだけではなくて、積極的に自ら作るということを実現できるソフトを目指して作りました。年齢を問わず音にこだわりを持った人は多いと思います。彼らが気軽に使え、かつ納得のいくソフトになったのではないでしょうか。
基本は3ステップで録音からCD制作まで
 実際に使ってみたらわかるが、基本的にはたった3ステップで一通りの作業ができるように設計されている。具体的には「入力の選択」、「録音の実行」、「CDなどへの出力」という3つ。これにより、アナログのレコードやカセットテープをきれいな形でCD化することができるのだ。しかも、この際、本当の初心者でも手軽に使えるような設計になっており、機材の接続さえできていれば、ほぼ自動的にできてしまう。
 こうした手軽さは従来からのオリジナルソフトの考え方を継承するものだが、実はその裏にはいろいろなものが隠されている。ここがSonicStage Mastering Studioの醍醐味ともいえるものだ。たとえば「編集」というボタンを押すと編集メニューが現れ、ここにさまざまな機能が詰まっているといった具合だ。この段階に入ると、ある意味、わかる人にだけわかるという画面が出てきて、まさにプロ向けのアプリケーションという顔つきになるのが不思議なところでもある。
 ユーザーインターフェースを担当した野村は「いろいろと考えている中、コンピューターの知識があることと、音にこだわりがあることは必ずしも一致しない、という結論に至ったんです」と話す。
 つまり、コンピューターに詳しい人が音にこだわりを強く持っているとか、その逆だとかということはなく、これは別次元のものだということ。


だったら、ということで使いたい人には徹底的に使い込めるような設計を施していったようだ。
「ただ、結構大変なこともいろいろありました。まず最初に一般のお客さんがどういう使い方をしたいのかというリサーチから始めました。そうすると『マイクで生録音したい』、『カセットテープに録音されている音をPCを使って手軽に聴きたい』、『心に響くのはやっぱり昔に買ったレコード。これをなんとかCD化できないだろうか』といった声が聞こえてくるんです。バイオにはClick to DVDというアプリがあって、ワンクリックでビデオの取り込みからDVD作成までできる。これを音でできないか、というのが最初のアプローチでした」と振り返る。結果的には3ステップになっているが、そこはデジタル制御ができるDVからの取り込みと、完全なアナログの音からの取り込みの違いということでもあったようだ。
入力から出力までは3ステップで
▲入力から出力までは3ステップで 拡大
波形表示はせずに、高性能を実現するのがソニーらしさだ
 一方、デザイン担当の坂田は、別のアプローチからスタートしていた。
「はじめて話を聞いたときは、非常に壮大なイメージでした。まさに、あれもできる、これもできるってね。これらを全部入れると、すごいものになってしまう。でもそれをお客様に少しでもわかりやすく使ってもらうにはどうデザインすればいいのか、って悩みましたね。私個人では初心者向けの作曲ソフトから業務用レコーディングソフトまでさわったことがあったので、それぞれのデザインはよく知っていましたが、それらとはまったく違うアプローチはできないか、と考えていました。たとえば高級感とかね。その一方で、同時期に開発されていたバイオのほかのアプリケーションはワンクリックで動くというのをコンセプトにしていたのです。そこでこれらと横軸をあわせるのには、苦労しましたね。そうした中で、簡単な操作だけど、すごいことができる。表面をさらえば3ステップでできるけど、降りていけばすごいことができる。というコンセプトが固まっていったんです」
 ユーザーインターフェースとデザイン。まさに表裏一体のものを設計するこの二人が、お互いイメージを交換しながら、少しずつその枠組みが決まっていった。
 こうした中で、やはり問題になっていたのが音声波形を画面に表示させるかどうかだった。


そこでヒントになったのはサンプラーと呼ばれる楽器の手法だ。これは音を録音して、それを音源として利用するというものだが、多くのサンプラーは波形表示させずに棒状の線を表示させることで、簡単に編集できるようになっている。そこで、その手法を取り入れたのだ。
「坂田さんのスケッチしてくれた階段状のインターフェース。録音した音が1曲ごとに階段を下りていくように表示される画面です。結果的にあれがわかりやすくて、波形表示をしなくても十分使えるということになったんですよ」と野村は話す。
 波形を表示させるソフトはほかにもいろいろあった。でも波形があるからこそ、敷居が高く感じてしまうユーザーも多い。だったら、それを表示させないでやるのがソニーらしさなんじゃないかということになり、結果的にはそれを貫いたということのようだ。
イメージビジュアルはソニー製の業務用レコーディングミキサー
▲イメージビジュアルはソニー製の業務用レコーディングミキサー 拡大
一歩踏み込むと、プロも驚く機能が隠れている
 また、単に使いやすいだけではなく、一歩踏み込むと、かなり深いところまでいけるというのもこのソフトの面白さだ。
「知らない人にも使えるけれど、知っている人にとってはすごいソフトであることを実感してもらえる。そんなソフトを目指しました。寄り道したところには宝が埋まっているというか、寄り道が楽しくて楽しくてしかたないっていうか」
 それが前述の「編集」ボタンと、その中に隠されている各種機能というわけだ。初めてのユーザーでも編集というのがどういう作業なのかをわかってもらうために、「編集」ボタンを押すと、流れ図が表示され、それぞれの項目がわかるようになっているとのことである。
録音時に現れる編集ボタン
▲録音時に現れる編集ボタン 拡大
編集ボタンをクリックすると現れる流れ図
▲編集ボタンをクリックすると現れる流れ図 拡大
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