前モデルのtype T（VGN-TZシリーズ）はVAIO 10周年記念として初代「バイオノート505」（PCG-505）を強く意識したシリンダーデザインを特徴とする節目の製品だった。いわばこれまでのモバイルVAIOを象徴するマシンであった。その後を受けて開発されたのが新type Tである。この新type Tにはどのような思いが込められているのか。プロジェクトマネージャーの鈴木雅彦は未来のtype Tが進む道を象徴するマシンであると考えて開発に取り組んできたという。

type T（VGN-TZシリーズ）はVAIO誕生からの10年を集大成した記念すべきモデルでした。そしてこの新type Tは、これからのVAIOが通るであろう10年を見据えて、わたしたちがやりたいこと、実現したいことを盛りこんだモデルなのです。VAIOは常にユーザーを驚かせるものでありたいと考えています。それも「なるほど」と頷くレベルではなく、見た瞬間、触れた瞬間に驚きを禁じ得ないような、そんなマシンがVAIOなんです。

そのためには、type Tをどう進化させればいいのか。その答えとして基軸に据えたのがブルーレイディスクドライブであった。どのようなシチュエーションであってもブルーレイの映像を堪能できる、そんなモバイルPCが作りたい。そのために必要な機能、パフォーマンスを、新type Tの小さな筐体に詰めこむ。「それはソニーにしかできない。初めてブルーレイディスクドライブをPCに搭載したのもソニー。小型化の技術も持っている」と鈴木は自負していた。

VAIOファンの方には、次のtype Tにはブルーレイが搭載されるのではないかと予測されているのではないかと思います。しかし、わたしたちは予測した方ですら驚くようなPCを作りたい。ブルーレイの動画さえ美しく表示する液晶、きれいなサウンド、快適なパフォーマンス。従来は難しかったブルーレイの映画を一本、バッテリー駆動で見ることもできます。まさに世界最小のプライベートシアターとして楽しめるマシンとして新type Tを開発しました。そのほかに、エコにもつながる省電力機能、SSDやDDR3メモリー搭載によるパフォーマンス向上などにも積極的に取り組んでいます。

また従来よりも積極的に女性層へのアピールを始めたことも新type Tの特徴だ。VAIOはそのデザイン性の良さから、女性層にも人気の高いPCだった。なかでも軽量なモバイルノートタイプには、女性からも「使ってみたい」という声が多く寄せられていた。そこで新type Tからは、女性が持つこともはっきりと念頭に置いてPCの設計やデザインを進めていったのだ。女性にこそ小さくて軽いtypeTを持ち歩いてほしいとプロジェクトリーダーの飯尾はいう。

新type Tのコンセプトワードは「エレガント」なのです。既存のユーザーを確保しつつ、女性層をもっと広げていきたいという考えが企画当初からありました。企画担当とプロジェクトリーダーが女性だったということもあって、二人でそれぞれコンセプトワードを考えてきたところ、「エレガント」という言葉で一致したのです。普通はもう少し決定までに時間がかかるものなのですが、新type Tはすんなりと「エレガント」に決まりでした。今回の新type Tは、見た目にも女性が持っても美しいように仕上げています。かといって、女性しか持てないようなかわいいデザインにはしていないために、男性が持ってもかっこいい。男性も女性も、誰が持っても似合う、それが新type Tの醸し出すエレガントさだと思います。新type Tの「VGN-TTシリーズ」という名前には「これこそTのなかのT」という思い入れが含まれています。