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新しいtype Aは、ノートPCとしては非常に大きなボディを持っている。ただし、中を空けると、そこには余分なスペースがまったくないほど、さまざまなパーツがビッシリと詰まっている。Full HDを実現するためには、非常に多くのハードが必要だったのである。多くの部品を無駄なく収めながら、Premium、Silent、Thin and Slimという3つのキーワードに沿ったデザインに仕上げること。これが、デザイナーの井関大介に与えられたミッションだった。type Fなどを手がけ、VAIOノートのスリムデザインを追求してきた井関は、今回のデザインワークについてこう語る。 井関:Premiumということでは、type Aはいわゆるフラッグシップモデルなので、ハイスペックなノートPCであるということが見た目からも伝わってくる、高級感のあるデザインを追求しました。その代表が“プレミアムブラック”という、液晶パネルの背面の光沢仕上げです。実はこの部分、VAIOではお馴染みのマグネシウム合金を素材として使っているのですが、光沢仕上げというのは通常の塗装より手間がかかるうえ、特にマグネシウムの鋳造部品に対して光沢塗装仕上げを行うのは、非常に難易度が高いのです。 マグネシウムの鋳造部品に塗装する場合、一般的な手順としては、成型後に荒磨き、防錆処理、下地(プライマー)塗装、最後に通常の塗装を行います。これに対し、今回は各工程に倍以上の手間をかけることで、より高品位な光沢仕上げを実現しました。具体的には、荒磨き工程でロボットを使用し、なおかつヤスリの目の粗さも何度も調整を行ったり、下地のプライマーも2種類使用するなど、塗装をする前の素地の状態が、より平滑になるよう工夫をしました。こうして仕上がった表面に、ブラック塗装、クリアー処理を施し、さらに塗装後、ひとつひとつ手作業で磨きあげて仕上げています。このように、type Aの美しい光沢仕上げは、設計チームの協力により実現しています。 |
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これに対して、液晶ディスプレイを開いた状態では、Silentというキーワードを考慮したデザインを施し、使っている状態では造形としてのノイズがない、“静かな”デザインにしました。新しいtype Aは、高品位で美しいHDコンテンツを扱うマシン。いわば画面が主役です。そこで、画面の中に映る映像が主役になるよう、コンテンツを楽しんだり編集するときに、まわりが邪魔にならないようなフラットなデザインで統一。たとえば、フローティングデザインを採用することで、液晶ディスプレイを支えるヒンジが見えない、ディスプレイが宙に浮いて見えるようにしたり、ベゼル部を画面と同じ光沢とすることで、画面の周囲の印象を押さえ、クリアブラック液晶がより際立つように配慮しました。 |
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キーボード周辺も、画面上での作業を邪魔しないように、できるだけフラットで段差のないスッキリしたデザインにし、その中で使いやすさを追求しました。たとえば、キーの周辺とパームレストの部分には1.3mmの段差を設けています。この Curveパームレストによって、作業中の手を休めることがることができるのと同時に、デザイン上のメリハリにもなっています。また、パームレストは日常的に触る部分なので、ここはLCD側と違いマットなブラックにしました。 また、type Aでは薄さも重要なテーマでした。機能が満載なのでボディもぶ厚くなりましたでは、VAIOとして許されません。Thin and Slimというキーワードで、いかにスリムにできるかを随所で追求しました。たとえば、本体のサイドの仕上げでは、3Dのモデリングで何パターンも形状を検討し、下部をそぎ落としたデザインにしました。これによって、本体の下側が消えて浮いているようなデザインとなり、形状の力づよさがありつつ、薄く見えるようになっています。 いかに本体を薄くできるかを追求すべく、コネクタの配置をはじめ、HDDやテレビチューナーといったデバイスのレイアウトを、設計の方と何度も調整を行いながらデザインを進めました。また、本体サイドに蒸着メッキによるシルバーの滑らかなラインを持ってきています(AR50Bはシルバー塗装)。この部分は、3Dのモデリングで何度も形状を検討し、本体から側面にかけて反射光による力強い印象を与えつつ、本体の下側を消しこみ、より本体の薄さを強調することを狙いました。以上のように、材質の持つ透明感や反射を利用しながら、Premium、Silent、Thin and Slimを実現したのがtype Aのデザインなのです。 |