
約16.5mmピッチのキーボード、1600×768ピクセルの高解像度ディスプレイ、最長約9時間のスタミナ性能を備えたtype P。より快適なモバイルPCを実現するため、開発者の挑戦は最後まで続いた。
━━ キーボードはどんな風にして決まっていったのですか?
詫摩 既存のフォームファクターであれば今までの経験値から大体わかるのですが、今回は新シリーズだったこともあり、決め手が過去になかった。たとえばキートップにしてもどれくらいの高さなら打ちやすいのか比べるものがないし、キーピッチも立体化しないと感覚がつかめない。そこで考えられるものすべてのモックアップを製作し、開発陣みんなで見たり触ったりしてまとめていきました。
花塚
約16.5mmピッチのキーボードは、キーストロークがすごく短い。通常は2.5mmくらいのところ、type Pは約1.2mm。単純にストロークを削るだけでは使いにくくなってしまうので、新構造のキーボードを採用しています。実際に使ってもらうとわかりますが、打鍵音も静かですし、ストローク感も本当に1.2mm? という感じだと思います。
鈴木 静かさという点でいうと、今回のtype Pではファンレス化に挑戦しています。SSDモデルだと、ファンのスピンドルモーターもなくなるので本当の<ゼロスピンドル>モデルが実現するのでリアルゼロだ、なんて話をしていました。
花塚 今回はマグネシウムの筐体を使い全体に熱を拡散させる設計になっています。ただノートPCは机の上で使いますが、type Pは置いて使うとは限らない。使い方によってはいろいろなところに触るはずなので、それらも意識しながら設計しています。
小野 SSDモデルはファンレスなので、家で深夜に一人で使っていると、本当に静かでしょうね。ファンの回るふおぉ〜っという音や、ハードディスクがカリカリとシークする音がしないわけですから。
━━ VAIOは関連製品が充実しているのも魅力ですよね。
花塚 今回はACアダプターと一体化できるディスプレイ/LANアダプターを用意しました。モバイルPCはディスプレイアダプターが外付けになることが多いのですが、これをよく忘れるんです。持って出かけるのを忘れるし、出先で置いて来ちゃう。そんなことが起こらないようにACアダプターと一体化できるような工夫をしました。
小野
あとACアダプター自体が小さい。ACアダプターと本体を一緒に持ち歩いても十分に小型軽量なので、どうしても限界があるバッテリーの残量を気にせず使っていただけると思います。
━━ 関連製品に無線デバイスを採用した経緯を教えてください。
鈴木 Bluetoothは、以前からVAIOで積極的に搭載しているデバイスです。とくにtype Pは外部接続端子を取捨選択しているため、Bluetoothによる拡張性は重要です。マウスのほかにも、ソニーではGPSユニット、オーディオコントローラーなども用意しています。
伊藤 無線環境では、ワイヤレスWAN搭載/非搭載モデルを用意しています。特にWAN搭載モデルは、今回初めて店頭でも販売します。より多くの人にいつでもどこでもPCを楽しんでもらいたいと思っています。
鈴木 私たちはお客さまに常に驚きを提供したいと思っています。要望を聞いて受け身で作る方法もあるのですが、私たちエンジニアが見えている世界と時代の風を感じ、皆さんが気がついていない部分を刺激するようなPCをこれからもつくりたいと思っています。
伊藤 「無意識の意識」という言葉がありますが、それを気付かせることも私たちの役目だと思っています。
いままでないところから突然変異のように製品を作り、皆さんに共感してもらう。type Pもそうした製品だと思っています。いまモバイルPCの選択肢が増えているなかで、こういうのが欲しかったんだって思ってもらえるようなものづくりはソニーの開発陣は長けている。これからも期待していただきたいですね。
