![]() |
![]() |

|
|||||
新 type Tは「シリンダーデザイン」と呼ばれるシンプルで力強い形状が大きな特長である。バッテリー部と一体化したヒンジが芯となり、そこからフラットな2枚の板(液晶パネルと本体)が突きだしている形状は、初代バイオノート505から継承し進化させた現代版のデザインだ。新 type Tに、フルフラットの薄く美しいシルエットを与えたデザイナーの井関大介は、こう語る。 井関:初代バイオノート505は、液晶パネルと本体の2面がヒンジ部分を芯に構成されていて、究極にはこれしかないという形になっています。いつまでも古びない、よく考えられたデザインだと思います。これを現代版にアレンジし直したらどうなるか? ここから生まれたのが新 type Tのシリンダーデザインです。フルフラットですっきりと仕上げ、初代バイオノート505よりもさらに薄くシンプルに。デザイン的に無駄な要素を徹底的に整理する作業を行いました。そのかいがあって、「風通しのよいデザインだね」と評されるなど、さえぎるものがない感じ、抜けのよさや気持ちよさを出せたと思います。 |
![]() |
今回、ボディをさらに薄く見せるために井関が追求したのが、側面のそぎ落としだった。これは、本体の色を明るい板と陰としての暗い板の2層構造にして、物理的に絞り込むことで、見かけ上のコントラストをつけるという、VGN-TXシリーズでも採用されていたデザイン手法である。これをさらに追求したのだ。 井関:側面をそいでいくと、実はその分だけ中に入る部品のスペースを削ることになります。普通は、光学ドライブなどの部品をよけるために、部分的な出っ張りが出てしまうのですが、今回はわずかな出っ張りも出したくなかった。そこで、設計の人に相当な無理を言って、可能な限り部品を押しこんでもらうことで、完全にフラットな側面に仕上げました。また、本体の手前の絞りあげについてもこだわりました。この部分で、実際の薄さの見え方が違ってくるからです。薄く見せることに関しては、VAIOノートの集大成と言えるものになったと自負しています。 |
|
|
![]() |
ノートPCにとってキーボードはいわば“聖域”である。見栄えを優先すると使いにくいものになりやすいため、デザイン上の冒険はあまりしないのが一般的だ。今回の新 type Tでは、キーピッチなどの変えてはいけないところはVGN-TXシリーズから変えず、デザイン的に触ってもよい部分を探して、そこを新しく変えていくというデザイン上の大胆なチャレンジが施されている。井関は、このキーボードこそが、新 type Tのデザインで最も難しい部分だったと言う。 井関:新 type Tのキーボードは、従来のノートPCのイメージを一新するデザインと構造を採用することで、打鍵感と美しいデザインを両立しました。パームレストからヒンジに向かってゆるやかなカーブを描くパネルは、鏡面仕上げの“アクリルABS”を採用。ピアノのようなブラックのパネルは、特殊な技術をもちいることで、光沢感のある仕上げを実現しています。その上に、ノミで削り出したようなソリッドなキーが並ぶことで、思わずハッと息をのんでしまうような、美しい世界を追求しました。もちろん、デザイン面だけではなく、その裏側ではしっかりとした堅牢性を実現するための、新しいキーボード構造を採用。さらにワンランク上の打鍵感を実現しています。 |
|
|
![]() |
新 type Tでは、液晶パネルの天板と本体の底面の2ヵ所に、強靱な「マルチレイヤーカーボンファイバー」を採用。これによって、フルフラットの薄さと軽量、そしてVAIO type Gに迫る堅牢性を実現している。曲げにくい上に、電波を通しにくいという特性を持つカーボンファイバーの採用は、デザイン面での制約になりやすい。だが、基本デザインをシンプルにしたおかげで、デメリットになる要素を上手くとりいれることができたと井関は語る。 井関:今回は、底面にもカーボンファイバー素材を採用していますが、ここで注目してほしいのは、曲げによる立体形状になっている点です。底面のカーボンはただの板ではなく、曲げによって角までをカバーしているのです。これによって、フルフラットを実現するために必要な堅牢性を確保することができ、ねじり強度を大幅に向上させることができました。また、実際に底面を見ていただくとわかりますが、溝の位置や細さに関して、他のパーツとのラインをあわせてスッキリ感を出すために、非常に細かい精度で加工をしています。これは設計担当者と、かなり突っこんだ打ち合わせを行い、カーボンの採用で制約になる部分をデザイン面からコメントさせてもらった結果です。普段はあまり目につかない部分ですが、こんな部分でも美しさを追求することが、堅牢性にもつながっているのです。 |