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開発者インタビュー / InsideVAIO type G 開発者に聞く
02 Design
熊野大岳写真  「多面体デザイン」で側面の堅牢性を表現出っ張りをなくした背面デザインでストレスをなくす
薄くスタイリッシュなデザインでありながら、堅牢性も備えている。相反する要素を「多面体デザイン」で表現しました。
スタイリッシュかつ堅牢な「多面体デザイン (Polygonal Design) 」
VAIO type Gをデザインする上で、最も難しかったテーマ。それは「堅牢なイメージをどう表現するか?」ということだった。薄くスタイリッシュなデザインは、実際にはそれがどれほど堅牢であっても、「薄い=壊れやすい」「スタイリッシュ=華奢」という見え方をしてしまうからだ。薄くスタイリッシュであると同時に、視覚的に堅牢なイメージを伝えるデザインを実現する。そんな相反するミッションに挑んだのが、VAIO type Rなどのデザインを手がけてきたデザイナーの熊野大岳だった。

熊野:type Gでは「薄くスタイリッシュ、でも同時にシッカリとした堅牢感がある」というデザインをどう実現するか。このデザインを実現するために、最初は非常に悩みました。そこで、何種類ものモックで試作を重ねながらさまざまな形状を検討し、最終的にたどりついたのが「多面体デザイン(Polygonal Design)」というアイデアでした。これは読んで字のごとく、PCの側面を多面体で構成するものです。通常、ノートPCの側面は垂直に切り立った平面になっていますが、type Gでは"くの字"になっており、傾斜する2つの面で構成されているのが特徴です。

傾斜した側面は、上からコネクターが見やすいのでアクセス性に優れているというメリットがあります。また、手前になるにしたがって下部の斜面が形成されているので、それが手がかりとなって、持ち運びの際にもサッとつかみやすい、モバイルしやすいというメリットがあります。このような感じで、多面体デザインにすることでユーザビリティーを追求する一方、平面で構成された塊(かたまり)感じさせる強固なイメージも表現しました。type Gの堅牢性がシッカリと伝わるデザインに仕上がったと思います。

実は、この多面体デザインは見た目だけでなく、実際の堅牢性にも貢献しています。ひとつは、横からの衝撃です。本体の中には基板が入っているわけですが、もし落としたり何かにぶつけたりして側面から衝撃を受けた場合、"くの字"の山の部分と基板の端の間に距離が確保されているため、基板には衝撃が届きにくいという効果があるのです。もうひとつは、液晶ディスプレイの保護です。やはり横方向から当たったときに、"くの字"の山の部分から先にぶつかるため、液晶ディスプレイパネルに直接加わる衝撃を軽減する役目もあるのです。
さまざまなモックを作成し最終的にたどりついたのが、「多面体デザイン(Polygonal Design)」。
 
くの字型の側面。基板との間に距離ができ、側面からの衝撃が軽減される。
出っ張りのない背面デザインで見た目のストレスも軽減
type Gの開発コンセプトは「ビジネスPC使用時のストレス解消」というものだが、実はこのコンセプトはデザインをする上でも考慮されている。デザイナーの熊野は、パッと見の派手さよりは、使えば使うほど実感できるような、シンプルで静かなスタイルと使い勝手のよさを追求したという。では、そのためにどんなデザイン上の工夫やこだわりが投入されたのか。熊野の声に耳を傾けていただきたい。

熊野:type Gの開発では、コンセプト固めの初期段階から私も参加しました。まず最初に決めたのが「不要な出っ張りが少ないデザインにする」ということでした。具体的には、背面のデザインでそのコンセプトを体現しています。液晶ディスプレイを支えるヒンジ部の形状を工夫し、同時にコネクター類を背面から排除するデザインに仕上げたのです。この結果、歴代のVAIOの中で一番薄くシンプルに見えるマシンだと思います。

バッテリーの出っ張りもなく、コネクターやヒンジ類などの余計なものも見えないという、背面から見た際に薄さが際立つデザインとなりました。これによって、カバンに入れたときの持ち運びが、従来の機種よりもさらにしやすくなったはずです。また、モバイルでは商談や会議のシーンで背面から見られることが多いですよね? その場合、1枚の板がスッキリと立っているという、対面する人にストレスを感じさせないデザインになっていると思います。こんな感じで、いわばデザイン的な"立ち振る舞い"としてノイズを少なくすることで、見た目から感じるストレスを軽減したのです。

また、ストレスを感じさせないデザインということでは、パームレスト部やキーボードまわりのデザインにも、いろいろと工夫を凝らしています。たとえばキーボードの右上には電源ボタンがありますが、左上にはシンメトリーな形で無線LANのスイッチと指紋認証センサーを配置しています。実際、市場調査の結果からも、オフィスで無線LANのスイッチをこまめにオン/オフする人が多いという声があったため、スイッチを見やすい位置にしてサッと操作できるようにしました。type Gを使う際は、キーボードのある面だけでほとんどの操作ができるため、使い込んでいただくと快適さを実感していただけると思います。

それと、タッチパッドの部分もこだわりました。まず、タッチパッド自体の触感をザラついた感じのものにし、その下にある2つのボタンとの境界に、金属感のある光沢仕上げのバーを配置しています。そして、ボタンの表面にはうっすらと細かいテクスチャーを施しました(これには滑り止めの意味もありますが)。モバイルでPCを使っていると、パッドとボタンの間を何度も指が行き来しますよね? その際に、ほとんど見ないでも使えるように、素材の触感でユーザーに伝えてあげようというのがデザイン上の狙いです。

また、今回はキーボードのバリエーションも豊富です。従来の日本語配列(かな文字あり)キーボード、英字配列キーボードに加えて、日本語配列(かな文字なし)キーボードも用意しました。余計な刻印がない分シンプルなので、ローマ字入力派の方には、よりストレスを感じることなく使っていただけると思います。

最後になりましたが、ビジネスで常に携帯する道具として、いつまでも使っていても飽きのこないデザインに仕上がったと思います。
コネクター類を側面や前面に配置し、背面から見たときに薄さが際立つようにデザインされている。
 
視認性がよく、耐摩耗性が強いレーザー刻印キーボードを採用。日本語配列(かな文字なし)キーボードも用意している。
03 Lightweight
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