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開発者インタビュー / InsideVAIO type G 開発者に聞く
03 Lightweight
  薄くても強い、軽くても丈夫 独自のアプローチで「軽量」と「堅牢」の2つを両立
肥後亨/笠井貴光/藤田清人写真
  あらゆる部分の開発者が一丸となり、軽量化と堅牢性、そして省電力の追求を徹底的に行いました。
技術者同士の緻密な連携作業から生まれたVAIO type G
「01 Concept」で紹介したように、VAIO type Gは「軽量・スタミナ・堅牢」という3つの目標を掲げて開発されたモバイルPCだ。ここで注目していただきたいのが「軽量」と「堅牢」の両立だ。相反する2つの要素を同時に実現することは、type Gを開発する上で技術的に最大のチャレンジだったという。はたして、type Gの開発チームはこうした難題にどう立ち向かったのか。リーダーとしてプロジェクトを導いた肥後亨はこう語る。

肥後:今回のtype Gでは、12.1型液晶を搭載した機種で世界最軽量(光学ドライブなし・バッテリーパック(S) 搭載モデルで約898g、光学ドライブあり・バッテリーパック(L) 搭載モデルでは約1116g)を実現する。また、Sバッテリーで約6時間、Lバッテリーでは約12.5時間の長時間駆動を実現する。そして、ビジネスユーザーが安心して使用できる堅牢性に優れた強いVAIOを実現する。この3つを設計の目標として開発しました。特に、堅牢性を実現する上で、他社が採用しているような本体を厚くする手法は、あえてとりませんでした。VAIOらしい「薄さ」やデザイン性をないがしろにすることは考えられなかったからです。

こうした、他社とは違う独自のアプローチによって、「軽量」で「薄く」しかも「堅牢」なVAIOを追求しました。また、typeGの筐体をフラットにさせることで外部からの圧力を面に分散させ堅牢性を実現しました。その結果、type Gは薄いから弱いとか、軽いからもろいかというと、決してそんなことはない。非常に優れた堅牢性を備えた1台に仕上がりました。また、それと同時に省電力の追求も徹底的に行いました。そのために、電気設計、メカ設計、液晶、熱処理などのハードウェアの各担当、そしてソフトの担当者まで、あらゆる部分で技術者が密接な連携プレイをとり、協力しあって開発を進めました。
12.1型液晶搭載機として世界最軽量の約898gを実現(光学ドライブ非搭載モデル)。サイズは277×215×25.5mm(幅×奥行き×高さ)で、非常にスリムなフラットなボディが特徴。
 
写真左のtype GではACアダプターは、83.2×36×25.5mmで約170g(ケーブ含まず)と小型・軽量化した。カバンの中でも邪魔にならない。(写真右は、type TなどACアダプター)
最適な基板レイアウトが可能にした軽量化
実際に手にとるとわかるように、VAIO type Gはとにかく「薄く・軽く」仕上がっている。その薄さ・軽さの実現に、基板をはじめとする電気設計の開発者たちが多大な貢献をしていると聞いたら、PCに詳しい人でも驚くのではないだろうか。基板設計を中心に電気回路全体を担当した笠井貴光は、今回の開発についてこう語る。

笠井:ご存知のように、従来からVAIO(モバイルPC)は薄さ、軽さを重要なコンセプトとしています。そのために、基板のサイズを小さくするのは当然です。ところが、type Gの開発では「12.1型で世界最軽量(光学ドライブなしモデルで1キロを切る)」という、さらなる軽量化が目標として加わりました。そこで、基板をはじめとする電気回路の設計でも、小型化と軽量化をセットにして徹底的に追求しました。具体的には、最適な基板レイアウトの実現と部品点数の削減がポイントになりました。

最適な基板のレイアウトとは、堅牢、デザイン、使いやすさなど制約条件が多い中で、USB、VGAなどのユーザーインターフェースコネクターや、HDDなどのデバイス類が最短でメインボードに接続できるように配置すること、また、それらを最適にセット内部で固定する事です。最短に接続することによって、FPCなどの接続部品が軽くなるのはいうまでもありませんが、それが電気回路の安定性には重要な要素で、結果、基板の小型化、不要部品削減の達成のために重要な要素となるのです。

基板の小型化、部品の軽量化の実現のための方法として(1)部品配置、配線的に有利な基板仕様、薄板の採用(2)従来VAIOで使用していない小型部品の採用(3)回路の簡素化を含めた、搭載部品数の削減を徹底的に行いました。

部品の削減については、回路設計は、一般にICメーカーの推奨回路(リファレンス)をベースに行いますが、リファレンスは利用環境における最悪条件を想定しているため多くのマージンを確保しています。実は、レイアウトを最短、最適に配置することで、ICメーカーが考えるマージンとtype Gとして使用上必要なマージンの差をあらかじめ大きくすることができます。その差を実験、測定を繰り返し行って検証することで、不要な部分を徹底的に見極めて部品削減を行いました。

このようなアプローチをとりながら、基板全体で行ったのが、少しでも穴を開けられる場所を見つけては、軽量化のための穴を開けるという努力です。軽量化に関しては塵も積もれば……で、0.1グラムにまでこだわって徹底的に削減をしました。
「基板とデバイスを最短距離で結ぶ」という設計ポリシーにより、すべての部品が隙間なく整然と収められた本体内部の基板レイアウト。

 
軽量化のために、十分な強度を確保しつつ、基板をはじめあらゆるパーツに空けられた“丸い穴”。地道な積み重ねがクラス最軽量の実現に大きく寄与した。
軽量化と薄型化の追求で実現した「羽のような液晶ディスプレイ」
VAIO type Gは12.1型のXGA液晶ディスプレイを搭載しているが、この液晶ディスプレイも軽量化に寄与している。その設計を担当したのは藤田清人だ。藤田は2005年に発表されたtype T(VGN-TX**)で、VAIO初となるLEDバックライトを採用した、薄くて軽い液晶ディスプレイの第一人者である。その藤田はtype Gの液晶についてこう語る。

藤田:type Gは12.1型のXGA液晶を搭載しています。そこで注目して欲しいのは、画面サイズが大きくなったにもかかわらず、実はtype Tの液晶(11.1型WXGA)よりも軽量になっている点です。今回は「クラス最軽量」を実現するということで、マシン全体のあらゆる部分で徹底的に軽量化を追求しました。液晶ディスプレイもその例外ではなかったわけです。例えば、液晶パネルの下についている基板ですが、これをさらに小さくすることも軽量化に寄与しました。重さでいうとわずか数グラムしかありません。この基板には、液晶の画素に対して1ドットずつ“絵”の情報を書き込む処理をする「LCD駆動ドライバ」というLSIが接続、搭載されています。このLSIやタイミングコントローラーICを新たに設計することで、type Tでは3個必要だったLCD駆動ドライバを、type Gでは1個で済むようにしたのです。

type Tに引き続き、LCDパネルのガラスもさらに薄型化しました。type Tでは0.3mmだったものを、type Gでは0.2mmにしたのです。そして、バックライトの光をパネル全体に均等にまわすための導光板も、さらに薄くしました。type Tのときは光源であるLEDと同じ厚さだったものを、type GではLEDよりも薄いものにしました。LEDに近い部分は同じ厚みですが、そこから先は特殊な加工をすることでLEDよりも薄く成型しています。もちろん、薄くしただけで強度不足になっては何にもなりません。メカ設計の担当者には、カーボンを駆使した筐体設計で協力をしてもらいながら、十分な強度も確保しています。このような軽量化の追求によって、パネル自体の面積が増えたにも関わらず、さらに軽い液晶ディスプレイが実現できたのです。
type T(左)と比較したtype Gの液晶パネル。パネルの下部にあるのが液晶を制御するICを搭載した基板。見た目にも大幅な小型化を実現しているのがわかる。
04 Solid
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