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開発者インタビュー / InsideVAIO type G 開発者に聞く
06 Software/Utility,PowerSave
田中義幸/河田太写真 ハードだけでなくソフトもビジネス専用設計、ビジネスユーザーやシステム管理者に便利な4本のソフトウェアを、新規に開発しました。
  ハードだけでなくソフトもビジネス専用設計、ビジネスユーザーやシステム管理者に便利な4本のソフトウェアを、新規に開発しました。
電気設計とBIOS開発の連携で高度な省電力機能を実現
VAIO type Gではさらなるスタミナ性能、Sバッテリで約6時間(インテル Core Solo プロセッサー搭載時)、Lバッテリで約12.5時間(インテル Core Solo プロセッサー搭載時)という長時間のバッテリ駆動を実現するために、徹底した省電力機能の追求がされた。ここでポイントとなったのが電気回路とBIOSおよびユーティリティとの緻密な連携である。マシンの使用状態にあわせて、不要な機能を自動的にオフにするという制御の積み重ねが、過去最高レベルのスタミナを実現した。BIOS設計を担当した田中義幸はこう語る。

田中:省電力関係のトピックとしては、まず光学ドライブ搭載モデルに搭載されている光学ドライブの制御があります。実は、type Gの光学ドライブは、内部でUSB接続されているのです。堅牢性を重視した部品配置の制約上、従来のIDE接続ではなく、あえて追加部品が必要なUSB接続を選択しました。ですが結果的には、USB接続のほうがIDE接続よりも小まめな電源制御が可能となりました。type Gでは光学ドライブの使用状態を自動的にモニターし、中にCDやDVDなどの光学ディスクが入っていない場合は、ドライブ自体をUSBバスから切り離すことで、余分な電力を消費しないという省電力設計になっているのです。この部分をBIOSとユーティリティの連携で対応しました。ちなみに、ドライブを使いたい場合はキーボード右上のイジェクトボタンを押すと、自動的に光学ドライブが再度USB接続され、使用可能な状態に復帰します。

省電力性能を高める場合、軽量化といっしょでコツコツと積み上げていかないと達成できません。どんなに優れたバッテリを搭載しても、システムが湯水のごとく電力を消費する設計になっていたら意味がありません。そこで、動作時にどの部分をオフにしたら電力が節約できるのかを徹底的に検討し、「使わないものは切る」という細かい制御をBIOSとユーティリティが連携して行っています。上記で紹介した光学ドライブの制御はその代表で、光学ドライブを数十秒使っていないと、通知メッセージがポップアップで表示されて、自動的にUSB接続を切り、光学ドライブへの給電をオフにするわけです。こうした制御をさまざまなデバイスに対して行っています。

最後にひとつ、パワーユーザーの方に喜んでいただける機能をご紹介したいと思います。実は私自身が欲しかったこともあり搭載したのですが、BIOS設定画面の中で、Caps Lockキーと左下のCtrlキーを入れ替える設定を用意しています。Ctrl+Cなどのいわゆるショートカットキーを多用する方は少なくないと思いますが、Ctrlキーがキーボードの左下にあると使いにくいですよね。そんな不満を解消するために、キー配列を入れ替えるフリーのユーティリティソフトなどが出回っています。しかし、ビジネスの場合は余計なユーティリティを入れることを、会社で禁止している場合もあります。そこで、BIOS設定画面の中で変更をできるようにしたのです。UNIX系のキー配列が好きな方はぜひ使ってみてください。
光学ドライブ搭載モデルに搭載されている光学ドライブ。BIOSとの連携により、未使用時には本体内部のUSBバスとの接続を自動的に切ることで、省電力性能に貢献している。
付属ソフトウェアもビジネス専用設計
ビジネス専用設計のtype Gには、いわゆるホームエンターテインメント系のAVアプリケーションは付属していない。その代わりに新規開発されたのが、ビジネスを快適にする4本のソフトウェアだ。ビジネスユーザーはもちろん、システム管理者にも便利なユーティリティについて、ソフトウェア開発のリーダーを務めた河田太はこう語る。

河田:今回、type Gのために開発したのは、「外部機器・メディア使用設定ユーティリティ」「VAIO プレゼンテーション設定」「バッテリいたわり充電モード個別設定」「VAIOの設定状態表示」の4本のソフトウェアです。まず、「外部機器・メディア使用設定ユーティリティ」ですが、これは管理者権限により外部機器やメディアへの簡易的なアクセス制限を可能にするソフトウェアです。具体的には、メモリースティック、SDメモリーカード、PCカード、i.LINK、そしてUSBメモリーなどを接続しても、type Gでは使えないようにすることができます(USBメモリーは読み取り専用にします)。近年増加しつつある情報流出の問題に対応するためのもので、主にシステム管理者のために用意した機能です。

また「VAIO プレゼンテーション設定」は、プレゼンテーションの際に起こる問題をボタン一発で解消してくれるソフトウェアです。たとえば、見せたくない壁紙が表示されてしまったり、途中でスクリーンセーバーが起動してしまったり、スタンバイモードになってしまう。あるいはメールソフトが起動したままになっていて「ネットワークに接続できませんでした」などのメッセージが表示されることがよくありますよね。このような各種設定のオン/オフや、任意のソフトウェアの起動/終了を、キーボードの右上に用意されたプレゼンテーションボタンを押すだけで、簡単に切り替えることができます。

次に「バッテリいたわり充電モード」ですが、これはその名のとおり、バッテリをなるべく長期間使えるようにということで用意した機能です。通常は100%のフル充電をするのに対して、「いたわり充電モード」では約80%、「超いたわり充電モード」では約50%でバッテリの充電をストップします。ニッケルカドミウムやニッケル水素電池の場合は、よく「つぎ足し充電」をくり返すと、メモリー効果でだんだん容量が減り、電池の寿命が短くなるといわれますが、リチウムイオン電池は特性が違うので、つぎ足し充電は影響がなく、むしろ100%にならないように充電を抑えた方がよいのです。使い方にもよりますが、充電を50%まで抑えると、充電レベルによる容量の低下はほとんど無いというデータもあります。

「バッテリいたわり充電モード個別設定」という機能もあります。これは、複数のバッテリがある場合、このバッテリは100%充電、このバッテリは50%充電というように、バッテリごとに個別の設定ができるという便利な機能です。例えば、出張用に使うバッテリは少しでも長時間使えるように100%充電し、普段使っているオフィス用は50%充電で長い期間使えるようにする、というように設定ができます。個々のバッテリには制御用のマイコンが入っているので、それとやりとりすることで、設定された情報をバッテリに記録するというのがこの仕組みです。一度設定すれば、後はバッテリを差し替えるたびに自動認識されるので、とても便利に使えます。

最後は「VAIOの設定状態表示」です。これは、省電力やセキュリティーなど、従来はバラバラの画面で設定していたものを、ひと目で設定状態がわかるように、1つの画面に集約して設定の確認・変更が行えるようにしたものです。モバイルPCは、AC電源で使うのとバッテリ駆動で使うのとでは、さまざまな設定が自動的に変わるので、「どういう設定だったっけ?」という場合にも、すぐに確認できます。以上、4本のソフトウェアは、ビジネス専用設計というコンセプトが決まった後で、ソフトウェア開発の現場から「こんな機能があったら便利だろう」ということで提案したものです。みなさんのビジネスに活用していただけたらうれしいですね。
type Gのために新規開発された「バッテリいたわり充電モード個別設定」の画面。100%のフル充電をしないことで、バッテリの寿命を延ばすことができる。
07 QA Test
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