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開発者インタビュー / InsideVAIO type U 開発者に聞く
03 Keyboard
花塚 暁写真 スライド式の液晶ディスプレイというアイデアで片手でつかめるほどの小さな本体にキーボードを搭載!花塚 暁(機構設計)
液晶ディスプレイがスライドする距離をコンマ1ミリ単位で調整しました。
“針の穴にラクダを通せ”的な難問だった液晶とキーボードの関係
VAIO type Uを手にしたときに、一際目立つユニークなデバイス。それが、スライド式の液晶ディスプレイと、その下から出現するキーボードだ。タッチペンで操作する方式のPDAやタブレットPCを使っているときに感じる、キーボードがないことによる操作上の不便さを解消し、いつでも素早く取りだして、使い慣れた操作方法ですぐに使えるようにするためには、小さくても実用に耐えるキーボードが必須だった。機構設計リーダーである花塚暁に、type Uのハイライトとも言える部分について語ってもらった。

花塚:今回のtype Uは、ある意味で「はじめにキーボードありき」のマシンでした。実際に搭載されているのは、2本の親指を使ってタイピングをする小さなキーボードですが、PCとしての使い勝手を重視して今回はキーボードレスのマシンは考えませんでした。そこで考案されたのが、スライド式の液晶ディスプレイというアイデアです。これなら、片手でつかめるほどの小さな本体にキーボードを搭載することが可能になります。

最初は、本体の大きさをパスポートサイズにしようと考えていました。しかし、いろいろと検証をしていく中で、それだと両手でつかんで操作するモバイルグリップ・スタイルを実現するには、逆に小さ過ぎることがわかりました。つまり、type Uの横幅は、技術的にこれ以上小さくできなかったから現在の大きさになったのではなく、「キーボードを搭載するためには、最低限この程度のスペースが必要だ」という検証を経て導き出されたものなのです。いたずらに小さくして、逆に使い難いものになることを懸念したわけです。
液晶ディスプレイをスライドさせると、U字型の筐体の凹部に隠れていたキーボードが出現する。両手で本体をグリップしながら親指を使う方式でタイピングが可能だ。
ソフトウェアキーボードにしなかった理由は「4.5型でキーボードを表示すると極端に画面が狭くなるため」だ。Windowsの使い勝手をスポイルしないことが重視された。
実際にキーボードを設計する上で苦労したのが、液晶ディスプレイがスライドする距離との兼ねあいでした。キーの押しやすさを考えれば、キートップはできるだけ大きくしたいわけです。そのためには、液晶ディスプレイがスライドする距 離を大きく取る必要があります。ただし、スライドする距離をあまり大きくしてしまうと、液晶ディスプレイを支えられなくなってガタツキが発生し、品位に対する影響がありました。

写真を見てもらうとわかりますが、type Uの液晶ディスプレイには、いろいろなデバイスが組み込まれています。カメラが2つに、指紋認証のセンサー、そしてスピーカーまで入っている。大画面のデスクトップPCでやっているようなことを、手のひらサイズのtype Uでやっている。背面には、これらを制御する基板や配線が入っているため、中は本当にギリギリの状態で、デバイスの位置が入れ替わっただけでだけで、すべてを収めることができなくなるほどの過密状態です。こういう理由から、液晶ディスプレイの移動量を大きくすると、その分だけスライド用の機構に占める体積も大きくなるので、基板や配線が収まらないという問題が出てくるわけです。これを解決するために、キーボードと液晶ディスプレイは、問題のすりあわせをしながら同時進行で作業をしました。

特にキーボードに関して言うと、部品ベンダーの協力を得て、キーの押しやすさと相談しながら5/100ミリ刻みでの調整を行い、液晶ディスプレイを品位良くスライドさせたときに、上下方向で37mmのスペースが確保できるようにしました。そして、そのスペースの中に、実使用に影響しない範囲でのキー数で、押しやすい形のキーを、押しやすい間隔で配置が実現出来るよう、これもまたデザイナーと何度も作業をくり返して、やっと完成したのがtype Uのキーボードなのです。
LCDをスライドさせると携帯電話のようにキーボードが光り、しばらくすると自動的に消える演出が施されている。このようにモノとしての魅力も随所で追求されている。
04 Display
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