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開発者インタビュー / InsideVAIO type U 開発者に聞く
05 Cooling
大池 新写真 流体解析による熱シミュレーションで両手でつかんでも熱くならない熱設計を実現!大池 新(熱設計)
構造材を放熱板としてここまで積極的に使った機種ははじめてです。
ファンの最適化や本体内部のフレーム構造でさらに効果をアップ
VAIO type Uのコンパクトなボディには、サブノートPCであるVAIO type Tと同等の回路が収められている。快適にWindows環境が使えるフル機能のPCを、小型化・省電力化などの技術とノウハウを用いることで、片手でつかめるバイブルサイズに落としこんだわけだ。当然、そこには発熱の問題が立ちはだかることになる。そこで登場してもらうのが、発熱設計を担当したエンジニアの大池新だ。PCの本体を、両手でつかんで使うというモバイルグリップ・スタイルならではの“ホット”な問題と、それにどう対処したかという“クール”な解答に耳を傾けて欲しい。

大池:発熱の問題は、PCの高性能化にともなって年々大きくなっています。特にtype Uの場合は、モバイルグリップ・スタイルということで、本体を手に持って操作するため、使用中に熱くなったりしては困ります。そのため、普通のノートPCよりもさらに徹底した発熱対策が必要でした。いろいろなことをやったのですが、開発の初期の段階から行った、排気のシミュレーションは非常に貢献していますね。

具体的には、熱流体解析と呼ばれる手法を使って、筐体のどこに穴をあけてどういう空気の流れにしたら、熱処理的に有利になるかをシミュレーションしました。そのシミュレーションの結果に基づいて、「これよりも部品を動かしたら絶対に熱が上がりますよ」という感じで、部品を収める際の線引きをしました。基準を作ってそれを守ることで設計を進めれば、大きな破綻は起こらないわけです。そのぶん電気やメカのメンバーは大変だったと思いますが(笑)。
熱流体解析シミュレーションにより、徹底した熱対策が施されたVAIO type U。本体の上部には、同径の従来品に比べて風量が10%アップした排気ファンが配置されている。
本体の背面には、上下2箇所にスリットが空けられている。背面だけでなく、上部、下部、さらには左側面の4箇所で、空気の流れを作り出す設計になっている。
その他にも、細かい工夫をいろいろと行いました。たとえば冷却用のファン。今回のセットにあわせてファンを最適化しました。ブレード形状を新しくすることで、同じサイズの従来のファンに比べて風量が10%アップしています。また、筐体の内部にある構造材(ボディの補強材)を放熱板として利用することで、セット全体で冷やせるようにしています。放熱のために、構造材をここまで積極的に使ったのはtype Uがはじめてです。

さらに、見えない部分での工夫ですが、筐体の内部にフレーム構造を採用しています。これは、メインの基板と発熱するデバイスを組み込んだフレームが、宙に浮いているような構造です。このフレーム部と筐体との接続箇所を最小限にすることで、熱が伝わるのを最小のレベルに抑えているのです。これは元々、本体を落とした場合の耐衝撃性も兼ねた工夫です。内部でフレームが浮いている感じになっているので、外からの衝撃が伝わらないのと、発熱が外へ伝わらないのと、2重の意味での設計が施されているわけです。
本体の下部に設けられたスリット。ここから流入した空気が本体内部を通過し、上部に配置されたファンから、熱として排気される仕組みだ。
 
06 Software
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